守ってダーリン!
「よし・・・と。戸締りOK!」

お姉ちゃんが、私たちの住んでいた家の鍵をかけると、一度ドアノブを回して、施錠の再確認をした。


(この鍵も・・・もう、使うことはないんだな。)


しみじみとした思いで、掌の中の合鍵を見つめる。

これから、私とお姉ちゃんは、それぞれ別々の家へ帰っていくことになる。

「里佳、そんな顔しないの。離れて暮らすっていっても、隣の駅なんだから。」

「うん・・・そうなんだけど。」

お姉ちゃんの結婚式が、12月に決まった。

そして、この夏の間探していたそれぞれの新居も見つかって、私たちは今日、姉妹で暮らしていたマンションから、新しい家へと引っ越しをする。

市谷さんは、私の安全や利便性を考えて、「7 luxe」と同じ最寄り駅の、セキュリティが整ったオートロックマンションを選んでくれた。

そして、お姉ちゃんと浜口さんの新居は、その隣駅にあるタワーマンション。

会おうと思ったらいつでも会える距離だけど、今までずっと一緒に暮らしていただけに、お姉ちゃんと違う家に帰るのは、やっぱりさみしく思ってしまう。

「片付いたらすぐ呼ぶし。遊びにおいでよ。私も、行くからさ。」

お姉ちゃんはそう言って私の頭にポンと手をのせると、にこっと笑顔を見せてくれる。

「それに。悲しみの別れじゃないでしょ?

お互い、好きなひとと一緒に暮らし始めるんだから。」
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