電波に乗って

【彼氏と彼女】

業務終了。

裕二との約束の場所へ向かう。

付き合い初めの頃は
化粧を直し駅まですごい勢いで走った。

今は化粧も直さず
駅までiPodでお気に入りの曲を聴きながらのんびり歩く。
"長年連れ添った夫婦"

これ以外の言葉が見当たらない。

結婚の話は出ている
出ているがきっかけが
ない。
お互い今が楽だから。
きっとね。

男と女なんて時間が経てばこんなもん。

絶対に一生、手を繋いで歩く…なんて思っていたけど実際は世間で言っている通りだ。

それを寂しいとも思わない自分がまたおかしくて歩きながら小さく笑ってしまった。

早く帰って好きな曲を聴きながら
お気に入りのカップで
大好きなコーヒーが飲みたいなぁ…

こんな事を考えてるようじゃ、終わってるね。

婚期を逃して諦めた女って感じ。

でもアタシ自身、それが心地よかったりする。

1人が楽……

裕二との適度な距離感が好き…。



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