電波に乗って
待ち合わせ場所に既に裕二は来ていた。

『遅いぞ…』

ピシッとしたシャツ
ピシッとしたズボン
大きめの革のバッグ

裕二だ。
長身な裕二は待ち合わせ場所で一際目立っていた。
自慢の彼氏
でも……"長年連れ添った夫婦"
なのだ。

今夜は行き着けのBARに
行く。

今日の仕事の話を物凄い勢いで話す裕二。
アタシは空返事がバレないように時々裕二の目を見てにっこり笑った。

"裕二の最大の欠点"

仕事の話を永遠とする。
付き合い始めの頃は
愛だの恋だの言う男より仕事の話をする裕二を魅力的だと思った。

きっと無い物ねだりなのだろう…。
今はそんな話が退屈に感じる。

でもどこかで安心している自分もいたりする。

今更、愛だの恋だの言われても何だかくすぐったいからだ。

店の前まで仕事の話は続きやっと到着。
BARのマスターが軽く会釈をする。
裕二とアタシも軽く会釈。

エスカルゴにマティーニ
カマンベールチーズにジンライム

アタシと裕二のお気に入りの組み合わせだ。



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