雨音で奏でて…二人きりの世界

ご対〜面

薔薇の香りがするグリーンのアーチ

レンガで作られた花壇

とても可愛らしい家のドアを開けて

拓真ママが笑って出迎えてくれる

「初めまして、小田 芽里です
朝からお邪魔させてもらって
すみません」

「ふふっ、拓真の言う通り可愛い
パパが喜ぶわ…あら、ごめんなさい
私ったらこんなところで」

「なぁ、少しだけ話したら
出掛けるから…」

「お邪魔します…」

とにかく可愛らしい玄関、

リビングのドアにはめ込まれた

ステンドグラスがとても綺麗…

テーブルの上に飾られた花

拓真のママのセンスの良さが

伺える幸せいっぱいのお家…

母とふたりの芽里の生活とは

真逆の空気感に…涙が止まらない

「ごめんなさい…私」

「構わないのよ芽里ちゃん」

「いいなぁ…拓真」

「親父そこから動くなよ?」

「芽里、とりあえずここに座って
親父、母さん紹介する
大切な俺の女。
やっと手に入れたから」

「良くやったな」「頑張ったのね」

ますます涙は流れ、止まらない

「芽里、この前お母さんと会ってきた
ふたりきりで頑張ってきたことも
とても寂しがりやなことも
全部聞いたんだ」

「……うん…」

「内緒にしててごめん。
でもさ、芽里もう…良くねえか?
これからは俺に何でも言えよ
ひとりで頑張るなよ…」

「芽里ちゃん
私やパパにも甘えていいの!
ウチの拓真を好きになってくれて
ありがとう…」

そう言って包んでくれた拓真ママから
薔薇の香りがした…

拓真と同じ優しい抱擁で…

この日を境に須賀家と小田家は
すっかり仲良くなり

ママ同士は昔からの友達のように

パパは少しだけ寂しそうだけど…

芽里が来る日は必ず

お土産を買って待っていてくれる

拓真と付き合っての毎日は…

みんなを笑顔にしてくれた。









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