雨音で奏でて…二人きりの世界

雨の日には

「芽里…俺たち遠距離恋愛になるな
大丈夫か?」

泣き虫な芽里に…酷な話だった。

「拓真〜、どうしたらいい?
本当は一緒に川崎にいきたい…けど
今すぐに仕事は辞められない」

「俺はさ…川崎に
芽里を連れて行く気はない
今から開拓していく営業所での仕事は
きっと想像しているよりもキツイと思う
芽里が側にいてくれれば
楽なのは俺だけだから…な」

どうして拓真はこんなに大人なのかな?

それでも…離れるより側にいた方が
幸せなんじゃないの?

拓真が隣にいないことを
想像するだけで涙がとまらない…

新婚の聡子が羨ましい…

「情けないよね私。
いってらっしゃいなんて笑えないよ
やだよ拓真」

「俺は嬉しすぎて…やっばいけどな」

頭を撫でながら拓真の膝の上で

めいいっぱい甘えさせてもらえる

このまま…ずっと…一緒にいたい

「拓真は離れること
不安じゃないの?」

少し考えて…

「俺はさ…気合が入るな
芽里を残していくんだから…
少しでも芽里の気持ちが揺らいだら
すぐに誰かにとられちまうだろ?」

「そんなこと…ないもん
私は拓真が大好きだからね!」

「俺もだ。
川崎営業所で仕事頑張るから…
泣かないで待ってろよな芽里」

そう言うと優しくそっと私に触れた
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