苦難を乗り越えて
事件から一転した生活
事件から一ヶ月。気持ちも落ち着いて貯金も五百万になった。仕事を変えようと決めた頃。タケ君が一緒に住もうと言ってきた。お母さんを一人にすることはできないと思いながらお母さんに話してみる。お母さんもずっと彼氏に一緒に住もうと言われてたらしい。でも早紀はまだ高校生。お母さんはタケ君を家に呼んで話しをした。早紀が卒業するまで四人で住まないかと提案してきた。タケ君は賛成した。給料のほとんどを家にいれてくれるタケ君。四人での生活。お母さんと彼氏の良太さん、早紀とタケ君。変な組み合わせの生活。風俗から足を洗い、ファミレスで働き始めた早紀は学校も勉強も仕事もきっちり、こなして毎朝タケ君にお弁当を作ってあげて幸せを感じる毎日。手に入った幸せ。苦難を乗り越えて得たものは幸せな生活だったと実感しながら、高校も卒業を迎え、早紀は美容専門学校に通って一年。幸せの中に思い出したくない事件のこと。専門学校の出入口の前に森本さんが立っていた。早紀に気付いて話しかけてくる。いかにも親しげに。関わりたくない。無視していると、大きい声で元風俗嬢が…と口走る。学校の生徒が見ている。嫌で嫌で走って帰った。何故名前も知らないのに学校がわかったのかもわからないまま家に帰ると、いつもより早く帰宅していたタケ君が明るく迎えてくれた。安心したと同時に涙が出てくる。もちろん何故泣いているのか問いただしてくる。あの男が来たことを説明した。風俗のことは言えなかった。次の日学校に行くと、またあの男。タケ君は話しをつけようと迎えにきてくれていた。森本さんはタケ君の話しも聞かず「彼氏さん?」見下したように言った。どうゆうつもりで早紀に近づくのか問いただしたが答えようともせず「あんた知ってんの?この早紀って女、高校時代、風俗で働いてたんだってこと」タケ君は驚いた様子だったが「お前には関係ない」といい放った。森本さんは逮捕された時警察に言わなかったのだからとお金を要求してきた。タケ君は早紀を車に乗せ車を走らせた。信じたくない気持ちで早紀に本当の話しを聞いてきた。早紀は困った。本当のことを話したら嫌われるんじゃないか。失いたくない。幸せから地獄へと落ちた瞬間だった。「どっちにしろ過去は過去だしな」タケ君の言葉に良かったと胸を撫でた。だが、その日の夜から毎日のように愛し合って性行為していたのに一ヶ月に一回も無くなった。
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