苦難を乗り越えて
高収入に惹かれて…。土曜日。珍しく月に二回しかない休み。学校も仕事も両方休み。久しぶりだから何しようかな、と家でテレビを見ていると着信音。ミキからだ。この前の高収入の仕事の話しあるから社長に会ってほしい、とのこと。駅前のレストランで待ち合わせ。すぐに化粧を済ませ、バスに乗り駅前のレストランへ。中に入るとミキと社長さんがいた。「はじめまして川崎と申します」丁寧な社長さんの挨拶の後に「山本早紀です。お世話になります」採用されると決まったわけじゃないのに、はやとちり。すると、すぐにいつから働けるか、仕事内容は知っているか質問を次々とテンポよく出してくる。緊張しながらも淡々と答え、仕事内容の話し。写真付きの雑誌をテーブルの上に置き、うちの店は六十分、一万二千円お客さんが払って女の子のバックは六千円で九十分一万八千円バックが九千円とゆうように十分、千円ってゆうのがお給料だから。十分、千円。驚いた。社長さんが話しを進めていく。お客さんが来たらまずお話しして、シャワー浴びてサービスを始めるんだけど、一日目に講習あるから安心して。シャワー?なんで?と疑問を聞くこともできず「はい」と返事のみをして面接とゆうのか説明とゆうのか解らないが、ひとまず合格らしい。仕事の話しが終わると社長さんはコロッと変わり面白い馬鹿話しばかりしてくれた。いい人そうだし楽しく仕事できそう。三日後から働くことになりミキも出勤日が同じだから少し安心した。月曜水曜金曜の週三回働くことにした。三十万以上稼げる。これで家計は楽になるどころか遊ぶお金も時間もできる。年齢はごまかしちゃったけどミキも大丈夫って言ってたし、これから頑張って時間もできたから青春を満喫するぞ。なにも考えないで給料のことばかりで決めてしまったが疑いもせず初出勤の日。隣街にある職場へと向かった。電車の中でミキが「何時まで働く?」と問いかける。そっか。自分で決めていいんだ。なんか変な感じ。「十時までかな。明日も学校だし」と返答。そして職場に着いて初めに目が止まったのは“ヘルス”という文字。“ヘルス”ってなんだっけ?ミキに連れられてエレベーターでビルの七階へ。店の前には女の子のほとんどが下着しか身につけてない写真がズラッと並んでいた。更衣室と書いてある部屋に入るとミキがナースの服を出し着替えるようにと言い一緒に着方を教わりながら着ていく。
< 2 / 28 >

この作品をシェア

pagetop