いろはにほへと
花はまた咲くもんだって。




そんな当たり前のことすら、気付けないまま。




ただただ突っ走ってきたから。





「-あ。」





そんな中吹いた風が、ひなのの前髪を持っていく。





「ひなのの目が、見えた」




って言ったら、ひなのがすごく動揺して、脚立から落っこちた。




泣きそうになった俺が、はぐらかすために吐いた嘘だったって知ったら、怒るだろうな。




なんでかな。




たった数時間しか一緒に居ないのに。




この無口な女の子に惹かれて。



触れたいと思ったり。



声を聴きたいと思ったり。




もっと一緒に居たいと思ったんだよね。



知りたいと思った。




その中に、小難しい理由なんかないよ。
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