いろはにほへと
最後の日に、ひなのの隣に座れて良かった。



あの時間を過ごせて良かった。



初めて来た時に、ひなのが教えてくれた満開の藤の花は、きれいだけど、やっぱりどこか物悲しい気持ちにさせるよ。






少しはにかむように笑んだひなの。




もうちょっと、こっちを向いて、しっかり笑ってくれたら、記憶に焼き付けておけるんだけどな。






そこへ―。






呼んでおいた早川が到着する。





突然の別れだから、戸惑わせてしまっただろうか。



予想通りというべきか、早川が余計なことばかり言ったから、テレビだなんだいわれたひなのの目が固まっていた。





何て、思っただろうか。




俺は大人だから。





去り際に何かを残すことはしないよ。




後ろ髪引かれる思いは勿論あるけれど。







笑える余裕位は持ち合わせてるよ。





そして、はっきりと君と俺の間に線を引く。






「ありがと、ひなの。」
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