いろはにほへと
昨日も言った筈だ。


私はトモハルという人間が苦手な種類だということに気付いている。



今更、なんだと言うんだろう。






「…そっか。」





片目だけが、トモハルの長い髪の隙間から見える。




なんだろう、これ。



胸が痛む。




でも、私がトモハルを嫌いだと言ったところで、この男は別に痛くもかゆくも無いはずだ。



だって、私は、影が薄い人間だから。






「じゃ、嫌いついでに!」





良心というものが、自分の中で自分を諭している最中。



トモハルは何故か元気に立ち上がって―





シャキン。






「―え?」





一瞬、何が起こったかわからなかった。





でも、トモハルが立ち上がって私に近づいたと思ったら。




次の瞬間に、目の前の暗い壁が崩れ落ちて、トモハルと目がしっかりと合った。






「!!!!!!!」





慌てて私は前髪を抑えた。




「ごめんねっ、ひなののその前髪邪魔だなーって思ってて。こうしたらもっと顔見て話せるなーって、ね。」




嘘。



私の大事にしていた前髪―。




ヒトとの接触を断つための必須アイテム。




それを、今この目の前の男に、奪われたの?





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