いろはにほへと
『何で言葉で伝えようとしないの?!年上でしょ?』
澤田はそれが理解できないと言った。
高校生の私達からすれば、大人の気持ちは分からない。
トモハルの立場を考え、想像する事はできるけれど、それでもやっぱり現実味がなく。
『もし難しいんだったら、ひなのに会うべきじゃなかったと思う。』
大人だって子供みたいに、無力な時もあるんだって、失敗する時もあるんだって、思えなくて。
責任を求めてしまう。
高校生とは多感な時期で、不思議と自分の価値観と周囲の大人の価値感に反感を持つ。
排他的な傾向を持つ頃なのかもしれない。
一個下ならすごく子供で、一個上の存在がすごく遠い。
でもじゃあ、はるか上の人を想う場合。
私はどうしたらいいんだろう。
すごく遠くて仕方ないのに。
持っていたって仕方ない想いを持ち続けて、理解できない程年上の人相手に、指を咥えて見ている事しかできない。