いろはにほへと



「そのことについて、僕は貴方たちから説明が聞きたいのですが。」


他を許さない物言いが、漂う空気を更に張り詰めさせた。

数秒、あるいは数分沈黙は続き、それが長くて重くて、鳩尾の辺りにズンと伸し掛かる。




「ーお話した通り…本来ならば顔を出す予定ではなかったんです…」


漸く口を開いたのは、早川の方だった。



「でも、ひなのさんが、とても良い仕事を、してくださったものですから…監督がどうしても、最後のカットは使いたいと言い出しまして…」



青白い顔。


つい何週間か前に会った時よりも、心なしかやつれた印象を受ける。




「完成は、観たんじゃないんですか。どうして止めてくれなかったんですか?」


< 418 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop