いろはにほへと
「そのことについて、僕は貴方たちから説明が聞きたいのですが。」
他を許さない物言いが、漂う空気を更に張り詰めさせた。
数秒、あるいは数分沈黙は続き、それが長くて重くて、鳩尾の辺りにズンと伸し掛かる。
「ーお話した通り…本来ならば顔を出す予定ではなかったんです…」
漸く口を開いたのは、早川の方だった。
「でも、ひなのさんが、とても良い仕事を、してくださったものですから…監督がどうしても、最後のカットは使いたいと言い出しまして…」
青白い顔。
つい何週間か前に会った時よりも、心なしかやつれた印象を受ける。
「完成は、観たんじゃないんですか。どうして止めてくれなかったんですか?」