いろはにほへと
冷静さが戻ってきて、残るのは自己嫌悪。




椅子に座ることなく、机に腰掛けて、部屋をぼんやりと眺めた。





何であんなこと言ってしまったんだろう。




もう直ぐ夏は終わるのに。



私はもう帰るのに。



そしたらトモハルだって、必然的に居なくなるのに。





それは、恋人がいようがいまいが、変わらないのに。







そこまで考えてズキリ、と胸が痛んだ。





最初は、すごく迷惑だと思った。




関わるとロクなことがなさそうな人間トモハル。



大事にしてた前髪も奪われるし、最低な男だと思った。




直ぐにでも出て行ってくれればいいのにと思ってた。




大人の男の人の癖に、自分よりもずっと精神年齢が低そうで、頼りない。





五月蝿くて、しんどくて、ちょっとだけ、胸が痛む。






そんな毎日。





それを少しだけ。




ほんの少しだけ。





楽しいと感じた自分が居た。






同時に。





マイナスの感情が湧き起こった。

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