電波ジャック~ハロー・ラバー~
「何なんだよ、姉ちゃん!そのセリフは!」
「あら。愛しの相田さんの名言でしょ?」
「何が『愛しの~…』だ!全然違う!ただのクラスメイトだ!」
「赤い顔して何言ってんのよ」
「姉ちゃんが変なことしてるからだろ!」
「はいはい、もう勝手にして。何でも良いわよ」
「いてっ!」

手にしていた紙の冊子を丸めて、パコッと頭を叩かれた。

「それよりご飯作ってよ。お腹空いたぁ~」
「はいはい」

半ば呆れながら靴を脱ぐと、俺は台所に向かった。

「ねぇ。今日の晩御飯は何?」
「メインは豚のしょうが焼きですよ」
「ねぇ。チョコは?」
「俺のリュックの中」
「開けるよ」
「どうぞ」

俺の背中から、リュックのファスナーが開けられる音が聞こえた。

「そうそう、コイツよ!コレがないと調子狂うのよね」

嬉しそうな姉ちゃんの声。
後ろにいるから表情こそ分からないけど、カタカタと箱の中身が揺れる音がした。



「あ」
「何」

俺は荷物を台所のすみに下ろし、手を洗う。

「ねぇ」

振り返ると姉は、チョコの箱に鼻を近づけ、犬みたいに動かしていた。


「シトラスの香り、しない?」

眉根を寄せてそう言った。
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