電波ジャック~ハロー・ラバー~

もう一度鼻をクンとさせると、「やっぱりする」と一人ごちていた。
近くにいる俺に聞こえるくらい、普通の調子で。

「あんた、香水のキツいオバサンと一緒にいたの?」
「ばぁか。んなもん―――」


声が止まった。

言わんとしていることが、半分嘘だと自分で気づいたからだ。

が、この姉は俺を何かとネタにからかってくる。そして、その頭を掠めた記憶は姉ちゃんが好きそうなネタで……。

俺は慌てて咳払いをしてごまかした。

「…や、うん。香水臭いオバサンだったよ。うん」
「目を見て話しなさいよ」

うっ……。
にんまり笑う姉ちゃんが怖い。




「話して。ね」

男をコロッと騙せそうな笑顔を俺に向けられても、俺にはそれは「面白いもの発見♪」と副音声がついている。


……逆らえるだろうか。いや、どうして逆らえるだろうか。
この姉に逆らえた記憶が、物心ついてから一度も記憶に無いのだから。





「はい……」

俺は落胆と一緒にポツリと呟いて、せめてもの抵抗の意味で「夕食時に」と付け加えた。
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