電波ジャック~ハロー・ラバー~
別れ話だ。


「君とはもう付き合えないんだ……」


気まずさに目を泳がせているだろう、ちょっとイケメンな男。
雰囲気で何となく分かる。


「俺、好きなやつが出来て……」

……あ。
相手の顔を思い浮かべただろう、やや頬が赤くなった気がする。


「それに、俺」
「言いたいことはそれだけ?」

イケメン男の声を遮って、女の声がした。

完全にデバガメ状態の俺は、その声の主に顔を向けた。
奇しくもタイミングは、イケメン男と同じ。

(あ……)




給水タンクの隣に立つ、テレビのでかいアンテナ。
深い緑に塗られた足元に、しっかりと影が映りこみ、女の影と重なっている。

ちょうど、頭の天辺から電波受信アンテナが立っているようだ。


俺の愛読書が風に揺れる。
一緒に靡いているのは、彼女の腰まであるだろう、長い三つ編み。
今時しないような古風な髪型は、出会う人間にちょっとした印象を残す。

ましてやそれがクラスメイトなら、絶対に忘れない。



(相田 硝子(あいだ しょうこ)……)



通称、『電波女』。
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