ラン・エ リーズ
「今回の警備の件、
国は全て
エストに任せたそうだ。」
「…。」
シュクルは誰にも気付かれないほど僅かに、
薄い茶色がかった赤髪を持つ頭をふせた。
それと同じ色を持つ瞳も
陰が宿る。
シュクルという青年は
幼い頃一度だけ
姫に会ったことがあった。
今となっては
姫ではなく女王と
なられたのだが、
彼にとっては
衝撃的だった。
その衝撃は
今日もなお、
彼の中にあり続けていた。
「…だからだ。」
大男は
静かに呟いた。
反論する言葉も
他の意見を出す訳でもなく、
ただ
それに従う。
それが
間違いだとしても、
シュクルは何も言わず
従うのだろう。
そう言う男なのだ。