初恋ノ音色 〜海ハ今日モ唄ウ〜
かなり早く着いた学校には、全くと言っていい程、人気がなかった。

「先生もあんま来ていないんじゃない?」


ひかるは廊下の端から端まで見渡すような仕草をした。

「ほんと。人気がなさすぎて怖いよ…」


あたしも辺りを見回した。

人がいないから、声が微妙に木精した。

「よしっ」

パシッ―

急に、ひかるがあたしの手をとった。


「んぇっ!?」

「学校探険しようっ」

「えぇ??」

「だってさ、誰もいない学校なんて滅多に入れるもんじゃないよ?
せっかくだから探険しよーよ」

真っ白な歯を見せて笑うひかる。


純粋さを忘れていない

幼いようで、凛々しい笑顔。


どくん…―


甘く痛む心。

苦しくなる呼吸。


けれど、その痛みや苦しみさえも愛おしい。



何なのだろう。


この気持ちは…。



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