初恋ノ音色 〜海ハ今日モ唄ウ〜
Chapter 3
まず一番に入ったのは、音楽室。

あたしが好きな教室。


あたしはピアノの蓋を開け鍵盤に指を添えた。


♪〜…

ポロン…と心地いい音を奏でる
ピアノ。


「波音、ピアノ弾けんの?」

「ちょっとね…」

「まじ?じゃあ何か弾いてよ!」

「…少し……だけだよ?」


あたしは、椅子に座り、鍵盤を押さえた。


〜♪〜♪……

……"乙女の祈り"。

初歩的なクラシック曲。


あたしが大好きな曲。

「うまいねぇ!」


ひかるは身を乗り出して絶賛してくれた。

「そんなことないよ…」

「えぇ〜?
あ、そだ。これ弾ける?」

ひかるは、床に紙を置いて、何か書き始めた。

「ホィ」

差し出された紙には、音符が幾らか記されていた。


…♪…♪……

それは、簡単なメロディーになっていた。


「♪〜」


ひかるはハミングをしながら歌い始めた。


「 青い海に映る
  無限の空
  私は今
  この空に
 キミを重ねて見ています 」


それは、綺麗な、とても澄んだ 歌声だった。





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