Again
「う~ん……」





重いまぶたを開けると、スタンドの灯りが飛び込んでくる。しかしこの寝室は葵の部屋じゃない。仁の寝室だ。



隣を見ると乱れていない枕がある。ずっと隣にいた仁がいなくなっていた。



すっかり楽になった体を起こし、スリッパを履く。喉も渇き、キッチンに向かう。キッチンからは、何か物音がした。仁だ。





「仁さん?」





キッチンでは仁が冷蔵庫で何かしていた。





「葵か? どうした? 何か欲しいのか?」





仁は、またスーツ姿になっていた。葵は悟った、葵をベッドに寝かせ、また仕事に戻ったのだ。そして残務をこなし帰宅したのだと。





「……ごめんなさい……」





葵は申し訳なさに、涙が出た。仕事の大切さは、上昇志向の強い葵には、良く分かっていた。





「ちょ、葵? どうした? 何で泣く? 何処か痛いか?」





仁は初めて見る葵の泣き顔にどうしていいか分からず、おろおろしている。





「仁さん……仕事してきたんでしょ? わたしのせいで……仁さんが……こんな時間まで仕事を」

「違うよ、忘れた書類を取りに戻っただけだ」

「でも仕事もしたでしょ?」

「してきてない。本当だ。それより、何か食べよう、何がいい? 葵」





仁を気にする葵を気遣うように、言葉を遮る。冷蔵庫を仁が開けると、そこにはコンビニで買って来た商品でいっぱいだった。かなり買い込んだようで、大型の冷蔵庫は、コンビニ商品で埋め尽くされていた。





「……仁さん……こんなに買って来たんですか?」

「どうしていいのか、何が必要なのかさっぱり分からなかったから」





体調の悪い葵の胸に突き刺さる程の仁の優しさを感じ、葵は仁に抱きついた。

仁は愛おしく優しく抱きしめる。二人とも素直な感情だった。





「ありがとう……仁さん」





泣き顔のまま仁を見上げる。仁は、そんな葵にキスをしたくなる衝動を必死で押さえた。



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