現実は小説よりきなり







「琉希也はねぇ、知らない。だって、今まで遊んでた子には大して興味もなかったからね。何かあっても気付かなかったんだよね」

「いや、日向君。軽く言うけど、それって最低だよね?」

琉希也君のイメージが悪くなるなぁ。



「あっ!嫌わないでやって。琉希也って、ちょっと事情があって生きることに不器用なんだ」

私の考えが分かったのか美樹が慌ててそう言った。


生きることに不器用ねぇ。

ま、人には色んな事情が有るものね。

彼の事を知らずに敬遠するのは失礼かな。



「分かった」

と言った私に皆がホッと胸を撫で下ろしてた。



「とにかく、聖子には気を付けて。私達も色々調べるから。それに一緒に居るし」

ね?と霞が微笑む。


「琉希也が嵐ちゃんを守りたいって言い出した時にチャンスだと思ったんだよね。嵐ちゃんも側で守れるし、聖子の悪事も探れるし」

ウインクした美樹に、

「そのお陰で私は普通じゃいなれなくなるけどね」

と嫌味の一つも言っておく。


この学校に入学した時から普通で有るように振る舞ってきたってのに。



「ま、そう言わずに仲良くやろうよ」

ね?と日向君はニコッとする。


「う...うん」

決して天使の微笑みにほだされたんじゃないからね。


それから私達は食事を再開した。


琉希也君と聖子さんが帰ってこなかった事は気にかかったけど、それなりに楽しい時間だったと思う。









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