心を全部奪って
ここ数日、


身体が疼いて疼いてどうしようもなかった。


多分、あの人に焦らされるだけ焦らされたからだ。


そのタイミングで工藤さんに会ってしまったから、


食事も満足にしないで、ベッドに雪崩れ込んでしまった。


あの人がいけないのよ。


あの人が…。


「ねぇ、ひまり」


「ん?」


私がじっと見つめると、工藤さんはなぜか戸惑ったような顔をしていた。


「いや。

やっぱり何でもないよ…」


工藤さんがいいかけてやめた言葉。


もしかして、別れの言葉だったのだろうか。


ベッドの中でまどろみながら、


そんなことを


頭の片隅で思った。

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