心を全部奪って
そんな昼休みも終わり、私はまた仕事を再開していた。


霧島さんも同じように、ノートPCに向かって、なにやら仕事をしているようだ。


今、亜由美先輩が用事で席を外しているから。


事務所には私と霧島さんだけ。


今がチャンスかもしれない。


私は思いきって、彼に声をかけた。


「霧島さん」


「ん?」


私に呼ばれるのが意外だったのか、


霧島さんが綺麗な目を丸くさせた。


「あの…、金曜日の件は気にしないでください」


「え…?」


「私のことは気にしないで、

同期の飲み会に行ってください」


きっと彼は盛り上げ役。


霧島さんがいなきゃ、みんなシラけてしまうかもしれないもの。


「何言ってんの。

同期の飲み会は、定例でやってるんだ。

一回くらい抜けたって、どうってことないよ」


「ダメですよ、そんなこと言ったら。

仲間を大事にする霧島さんらしくない。

私には同期がいないから、

仲間がいてうらやましいです」


私の言葉を聞きながら、霧島さんはなんとも複雑そうな顔をしていた。

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