心を全部奪って
「んんっ」


ど、どうして?


ちゃんと名前で呼んだのに!


結局、どっちでもキスするんじゃん!


いやーーー!


「暴れるなって」


「ちゃんと呼んだのに…んっ」


逃げる私の唇を追って、また無理矢理キスをされる。


「無理。止められない」


「そんな…っ」


熱く重なる唇になんだかめまいがしてきて、霧島さんのスーツに思わずぎゅっとしがみついた。


「ひ、人に見られちゃ…っ」


観覧車って、意外に外から丸見えなんだから!


「大丈夫」


何が大丈夫なのよ!


「ここ、今てっぺんだから」


「……っ」


うっすら目を開けると、確かにここは一番高い場所のようだった。


それで安心したってわけじゃないけど。


なんだかふぅと身体の力が抜けた。


そんな私にキスをしたたま、霧島さんがフッと妖艶に笑う。


美しい夜空に浮かぶ大観覧車の中。


霧島さんの柔らかい唇は、


しばらく私の唇に優しく何度も重なっていた。

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