心を全部奪って
「妊娠…?」


う、そ…。


どういう…こと?


「キミはそれを知っていて、彼に近付いたんだろう?

奥さんが里帰りしていて、工藤君が食事に困っているからと。

それでしつこく食事に誘ったんだろう?」


「里帰り…?」


あぁ…。


だからなんだ…。


奥さんが里帰りしているから。


だから最近、休日も会ってくれてたんだ…。


「キミ、困るよ。

彼は我が社の大事な人材なんだ。

色目を使うのはやめてもらえないか?」


「色目だなんて…」


「今、社内はキミの噂で持ちきりだ。

これじゃあ、みんな仕事にならんからな。

悪いんだが、しばらく自宅待機してもらえないか?」


「そ、そんな…。

じゃあ、工藤課長は?

彼はどうなるんですか?」


「彼?

まぁ彼は被害者だが。

工藤君にもスキがあったんだ。

彼さえしっかりしていれば、こんな騒ぎにはならなかったはずだろうし。

彼にも同じように、しばらく自宅待機してもらうつもりだよ」

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