心を全部奪って
持つべきものは


霧島君より早く目覚めた私は、


シャワーを浴びて近所のコンビニにパンを買いに走った。


お湯を沸かして、コーヒーをセットする。


その香りに気づいたのか、霧島君がゆっくり身体を起こした。


「あれ…?ひまり…?」


寝ぼけ眼で、キョロキョロと私を探している霧島君。


「ここだよ」


台所から手を振ると、ホッとしたように笑顔になる彼。


ゴソゴソと衣類を身につけると、私の近くに歩いて来た。


「おはよ」


そう言って霧島君が、私を後ろから抱きしめる。


「おはよう」


彼の腕に触れながら言った。


「俺もシャワー浴びてくるね」


「うん」


霧島君はそう言うと、お風呂場のドアを開けて中へと入って行った。


その後ろ姿を見つめながら、どうしてもニヤけてしまう顔をそっと両手で覆い隠す私だった。

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