心を全部奪って
ソファー前のローテーブル。


その上にパンとコーヒーを置いて、私達は簡単な朝食をいただいた。


霧島君は既にスーツに着替えていた。


出社時間まであと30分くらいかな?


なんだか落ち着かない。


「どうした?あんまり食べないね」


「ん?うん…」


好きなパンばかり買って来たのに、1個の半分も食べられない。


「ひまり。いつ愛知に帰る?」


「え…?

あぁ、えと、明日かな?

荷物が届くのは明後日だけど、朝早いみたいだから。

前の日には帰っておきたいの」


「明日の何時?」


「うーん。霧島君の通勤に合わせて、一緒に出ようかな?」


見送られるのは苦手だし。


「えぇっ?そんなに早く?

じゃあ、今夜一晩しか一緒にいられないってこと?」


霧島君がせつなそうに顔を歪める。


「そう…なるよね…」


どうしよう。


すごく寂しい…。
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