心を全部奪って
デキる男
ぎゅうぎゅう詰めの電車内。


窓に映った自分の顔を見ながら、深いため息をついた。


この土日は、なんだか休んだ気がしなかった。


霧島さんに押し倒された時、身体に変な力が入っていたようで、あちこちに痛みが残っていた。


憂鬱な気持ちのまま、会社のビルへと入る。


正直、霧島さんには会いたくない。


このまま引き返してしまいたいくらい。


でも工藤さんの顔が見たいし。


行きたい、行きたくない。


行きたい、行きたくない。


気持ちが天秤みたいにユラユラして、なんだか落ち着かない。


社内に入って自分の席に着くと、


隣の席の人はまだ出社していないようだった。


席に着いた途端、電話の嵐。


ぐだぐた考えているヒマはないか。


月曜日は、とにかく忙しいんだから。

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