心を全部奪って
電話を取り次いだり、急ぎの受注処理をしたり、届いた宅配の荷物を開けたりしていたら、いつの間にか隣の人が席に着いていた。


「おはよう、朝倉さん」


満面の笑みで挨拶する霧島さん。


「お、おはようございます…」


そのくったくのない笑顔も、本性を知った今では恐ろしく見える。


案外こういう人の方が、営業に向いていたりするのかもしれない。


「今週はずっと鈴木さんと一緒に挨拶回りなんだ。

忙しくなりそうだ」


鈴木さんの仕事量があまりに多いから、取引先を何社か霧島さんが引き継ぐんだっけ。


嬉しそうに準備をする霧島さん。


まるで遊びにでも行くみたい。


何がそんなに楽しいんだか。


そんな霧島さんを尻目に、私は営業の高橋さんに頼まれた資料をひたすら作成するのだった。

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