心を全部奪って
全く。


相変わらず強引だよね…。


やれやれと思いながら、重い足取りでベッドを出た。


急いで支度を済ませてアパートの前で待っていると、私の目の前に止まる一台の車。


あらま。


可愛い軽自動車。


女の子かしら?


そんなことを思っていたら、スーッと運転席の窓が開いた。


そこから顔を出したのは、なんと私服姿の霧島さんだった。


「よう」


「え?

く、車…?」


「いいから、早く乗れ」


ま、まじか。


言われるまま、しぶしぶ助手席に乗る。


「おい、お前」


「え?」


「シートベルトしろよ」


「あ、ご、ごめんなさい」


車に乗るのなんて久しぶりで、ボーッとしちゃってた。


「じゃあ、行くぞ」


そう言って車を走らせる霧島さん。


もう。


一体なんなのー?


貴重な休みの日に、なんであなたと一緒に出かけないといけないの?


霧島さんに気づかれないように、はぁとため息をつく私だった。

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