心を全部奪って
金曜の夜。


あのビルの最上階で、しばらく夜景を見て。


私と霧島さんは自宅が同じ方向だから、一緒に帰るには帰ったんだけど。


駅に着く直前にスマホを奪われて、無理矢理番号交換させられたんだ。


『日曜の朝に連絡する。

どこにも出かけんじゃねーぞ。

絶対に電話に出ろ。

出なかったら、痛い目に合わせてやるからな』


なんとも物騒な事を言われた。


一緒に夜景を見た時は、あんなに優しかったのに。


地上に降りた途端、


いつも通りのSな霧島さんに戻っていた。


こんな日曜の朝に、


一体何の用事なんだろう?


『出かけるから準備しろ。

20分以内にお前のアパートに着く』


「えぇっ?」


出かける?


『いいか?

お前に拒否権はない。

さっさと準備しろ。

じゃああとでな』


そう言って、ブチッと電話を切る霧島さん。


な、なななんだってーーー?

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