心を全部奪って
あ、あれ?


どうしたんだろ。


なんか胸がドキドキして、すごく恥ずかしい。


多分、突然優しい顔をされたから、それで調子が狂っちゃったんだ。


いつもの霧島さんは強引だし、偉そうだし、すぐに怒るし。


怖い言葉で脅すし、私の意志なんて完全に無視するもんね。


でも…。


ちょっと腑に落ちないところがある。


私が寂しい休日を過ごしてるってこと。


もしかしてわかってた?


だから、あえてここへ連れて来てくれた?


金曜日、夜景を見せてくれたのだって。


バッティングセンターで汗をかかせたのだって…。


もしかして、私のため…?


まさか、ね。


じわじわ追い詰めて、苦痛に顔を歪める私を見たいって言ってたもの。


そうよ…。


そんなはずない。


ちょっと退屈しのぎに、からかって楽しんでるだけなんだ。


きっと、


そうだよ…。


そうに違いないんだ…。

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