優しい世界の愛し方
気づけば、整ったその顔が私のすぐ横に来ていて。

「うわっ!」

っと、可愛くない悲鳴を上げて、あわてて距離を取った。

「あっはっはっはっは!」

私の反応に、来栖くんは大声で笑う。


それはいつもの、明るい来栖くんの笑顔だった。


「ごめんごめん。ちょっとからかってみた」

全く悪びれない様子でそんなことを言う来栖くん。
かえせ。私の胸の高鳴りを。

「でも、どうしてかは教えてあげない」
「はあ!? 何でよ!」

からかわれてた上に質問に答えてもらえないなんて、ひどすぎる!

「そんなに怒らないで!今はまだ内緒なの。そのうち話してあげるから」
< 25 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop