異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 班長は相変わらずオレなんかいないかのように、黙々と事務仕事を続けている。
 身体的に疲れることはないけど、精神はめっちゃ削られてる。

 どうせすることもないなら、いっそ省電力モードに切り替えようかと思い始めたとき、班長がおもむろにこちらを向いた。思わずピクリと反応したオレを見て、思い切り不愉快そうに眉をひそめる。

「いちいちビクつくな。オレの方が落ち着かない」

 やばい。気づかれてた。

「すみません。なにかご用かと思って」
「事務室でおまえに頼むような仕事はない」
「そうですか」

 うーん。班長の中では、オレってあくまでも機動捜査用の備品なんだな。教えてくれれば大概のことはできるんだが。しかも人より正確に。

 いつものように天使の微笑みで応対する。

「事務仕事もできますよ」
「いい」

 そう言うだろうとは思った。

 すぐに目を逸らして仕事に戻るのかと思ったら、班長はそのまま問いかけた。

「おまえ、いつも研究室ではなにをしてるんだ?」
「研究室に常駐してるロボットと話をしたり、クランベールのことを学ぶために国立図書館の蔵書を閲覧したりしてます」
「だったら、そうしてろ。室内にいるときまでオレを監視してなくていい。その方がお互い落ち着くだろう」
「了解しました」

 やった。読書の許可が出た。ダメ元で聞いてみようとは思ってたんだ。

 オレが国立図書館にアクセスしようとした途端、本日二度目に聞くあのメッセージが流れた。


——緊急指令。第一居住地区にて、捜査員銃撃犯と思われるロボットの目撃情報。特務捜査二課の各捜査員は直ちに出動してください。


 班長が即座にコンピュータの操作を終了して立ち上がる。オレも一緒に立ち上がった。

「行くぞ。リズを呼べ」
「了解しました」

 今日はオレも班長と一緒に出動だ。班長は早速通信でシャスとフェランドに指示を出している。

 図書館の蔵書閲覧はしばらくお預けになってしまった。


< 167 / 285 >

この作品をシェア

pagetop