異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
心底感心して目を丸くするオレをチラリと見て、シャスは照れたようにフェランドに向かって否定する。
「いや、そんなことないですよ」
そんなシャスの背中をフェランドはバシバシ叩いた。
「そんなことないことないって。そこは自負しとけ」
そしてオレに向かって自分のことのように得意げに自慢する。
「ほら、シーナが初仕事でロボットを取り逃がしたとき、オレたちが待ち伏せしただろ? あの時、オレとグレザックさんはふたりだったけど、シャスはひとりだったじゃないか」
「そういえば……」
「道幅が狭かったのもあるだろうけど、シャスならひとりでも取り逃がすことはないと班長が判断したからなんだ」
「へぇぇ」
シャスも危険は覚悟の上で任務に当たっているって班長は言ってたけど、班長が安心して任せるくらい限りなくゼロに近い危険だったわけか。
そりゃあ、余計なことしやがってって、オレが怒られるはずだ。
ひたすら感心するオレの横で、班長が少し苛々したように声をかけた。
「おまえら、無駄口はそのくらいにして、さっさと訓練に行け。いつ出動かかるかわからないんだぞ」
「はい」
返事をしてふたりはさっさと部屋を出ていった。途端に室内は静寂につつまれた。時々二課長が電話応対をしているのがせめてもの救い。