異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました



 ヒマだけど図書館の本を読もうという気にはならなかった。ゆうべ眠る間際にリズが何かを言いかけていたことが気になっていたからだ。
 あの時は意識を取り戻したばかりの体が心配で遮ってしまったけど、今になってやけに気にかかる。
 朝起きた時のリズは、言いかけたことを忘れているのか何も言おうとはしなかった。
 あの時の真剣な表情が気になって、何か重要なことのような気がしてしょうがない。リズが来たら聞いてみよう。

 そんなことを考えながらぼんやりムートンを眺め続けていると、唐突に出入り口の扉が開いた。
 いつも通りに身支度を整えたリズが、いつも通りの笑顔でムートンに声をかける。

「おはよう、ムートン」
「オハヨウゴザイマス、リズ。ソウジガオワッタノデ、パズルヲタノシンデイマシタ」
「そう。いつもありがとう」

 そう言ってリズは目を細めた。毎朝繰り広げられる母と子の会話だ。そしていつもそのあとで、彼女はようやくオレに挨拶をする。

「シーナ、おはよう。昨日はありがとう」
「うん、おはよう。もう体は平気?」
「大丈夫よ。すぐに背中の傷を直すから、一緒に来て」

 リズは忙しそうに鞄を机の上に置いて、白衣を羽織る。そして部品が入っていると思われる小さな箱を持って作業場の方へ歩いていった。
 オレはそのあとに続き、一緒に部屋に入る。この部屋に入るのは目覚めたとき以来だ。
 何度か調整はされたけど、プログラムの調整だけだったので、作業場に入る必要はなかった。ボディそのものをいじるのは初めてだ。

 やっぱ全裸なのかな。

 それが気になっていると、作業台の前からリズが見計らったかのように告げた。

「脱いで」
「全部?」

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