異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
内心ふてくされているオレの背後で、ガラスを踏む大勢の靴音が聞こえた。ガラスの割れた窓から人が入ってきたようだ。
咄嗟に振り返る。あ、動けた。絶対命令は停止したらしい。ヴァランはまだグリュデを抱えているけど。
屋上の侵入者は思った通り、特務捜査二課の捜査員たちだった。窓から目の前に飛び込んできたシャスが、こちらに銃口を向けながら叫ぶ。
「シーナ、よけろ!」
オレが飛び退いたと同時に放たれた光弾は、ヴァランの背中を直撃した。
ヴァランはグリュデから手を離し、がくりとひざを折る。そして床の上に横倒しになった。
それを無表情なまま一瞥したグリュデは、窓際にいる捜査員たちに不愉快そうに尋ねる。
「警察局が器物損壊、不法侵入とはどういうつもりですか?」
捜査員たちの間から進み出てきたフェランドが、グリュデの前に通信端末に表示された書状を突きつけた。
「科学技術局局長ダン=グリュデ、ロボット法違反、及び監禁容疑で逮捕します。略式ですが、逮捕状です。局までご同行いただけますか」
書状には目もくれず、グリュデはフェランドを見据えて鼻で笑う。
「証拠はあるのかね? だいいちレグリーズさんは自分の意思でここに来て、これからお帰りになるところだったんだ。監禁などしていない。彼女に聞いてみればわかることだ」
フェランドは動じることなく、不敵の笑みを見せた。
「証拠はありますよ。シーナは試用期間中なので、行動や見聞きしたことをすべてモニタリングする機能があります。彼がここに来てから見聞きしたことはすべて警察局の関係者が把握しています。言い逃れはできませんよ」