異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました
「リズの頭脳も胸に入ってんじゃねーの?」
もう一度チラリと胸を見ると、リズは握った拳を掲げて見せつけた。
「もう一度殴られたいの?」
「痛覚センサを切るまで待ってくれ」
白衣の前をがっちり合わせて腕を組みながら、リズは不愉快そうにフンと鼻を鳴らす。
腕の上に豊満な膨らみが乗っかってよけいに強調されてんだけど……。とか言ったら、本当にまた殴られるので黙っておく。
「まったくもう! 変なデータを記憶して、うちの子をエロマシンにしないでちょうだい」
「へ?」
なんだ? リズの中じゃ、ロボットの体と中にいるオレとは別物ってことなのか?
それに気づいた途端、なんだか心が高揚してきた。
クランベールに来て初めて、人として認識されたような気がする。
自然とにやけるオレを、リズが眉をひそめて訝しげに見つめた。
「なに笑ってんのよ。また変なこと考えてるんじゃないでしょうね?」
変に勘ぐられようと、そんなことはどうだっていい。オレは上機嫌のままリズに尋ねた。
「なぁ、リズ。オレがおいしい食事を作ったら食べてくれる?」
「え? あなた、料理なんてできるの?」
「やったことないけど、なんとかなるんじゃね? オレって超高性能万能ロボットだから」
少しの間面食らったように目をぱちくりさせた後、リズはクスリと笑う。
「そうね。ぜひ食べてみたいわ」
「よーし。何作るか調べるぞ」
「その前に調理器具の扱い方を調べるべきじゃない?」
それもそうだ。どうやら午後にやることができた。
問題は許可なく外に出られないオレが、どうやって食材を確保するかと、どこで調理すればいいかということだが、まぁ、それは後でいいか。