28才の初恋
「迷惑なんて思っていないですよ」

 大樹クンのいきなりの行動に、キョトンとして何も返せない私へ向かって大樹くんが続ける。

「いつも課長が俺にしてくれてることからすれば……こんなこと迷惑でも何でもないです!」

 そう言いながら私の横に腰掛ける。
 それと同時に身体を私の方に向け、突然私の手を握り締める!
 これは……また妄想か!?
 そう思ったのだが、私の手を握った大樹クンの手が暖かい……これも……現実なの!?

 ドギマギしてしまい、何のアクションを取れないままの私の瞳を、大樹クンがジッと見つめる。

――このまま吸い込まれてしまいたい。
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