28才の初恋
「課長しかいないんですか? 丁度良いですね……これで二人きり」

 大樹クンは……自分のデスクではなく私の方に迫ってくる。忘れ物では……なかったのだろうか?

 そのまま……デスクの脇を通り、私の真横にやって来た。
 いつになく……大胆な行動だ。
 急に胸がドキドキして、私は手に持ったサンドウィッチを書類の上に落としてしまう。

(あっ……!!)

 書類を汚してしまう、そう思ってサンドウィッチを慌てて拾おうとする私の手を……大樹クンが握り締めた!

「二人きりになれる時間は限られているんです……だから……ね?」

 真剣な眼差しで語りかけてくる大樹クン。
 そんな行動に対して、私が取れる行動は……「ハイ」と答えて眼を閉じるくらいだ。
 それは、紛れもなく……キスの合図なのだから。
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