28才の初恋
 時計を見ると、時刻はまだ十二時四十分。
 昼休みが終わるまでは、あと二十分ほどの時間がある。
 課の誰かが戻ってくるには……少し早い時間だ。

 誰だろうかとドアから入ってくる人物を見る――。

「あれ? 課長はランチに行かなかったんですか?」

 ドアを開け、オフィスに入って来たのは……他でも無い。
 私の王子様――大樹クンだった。

――ええっ!?大樹クンは外回りに行ってしまったはずなのに……どうして?

 そう考える私をヨソに、大樹クンはドアを閉めてオフィスに入ってくる。

 忘れ物でもあったんだろうか……?
 大樹クンはこちらに向かって真っ直ぐに歩いて来る。
 本当に……どうしたんだろう?
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