28才の初恋
 すかさず、桃代部長にビジネスの話を持ちかける。鉄は熱いうちに打て……というヤツだ。

「それでは……仕事の話もゼヒ」

 細かい条件は後日、ということだ。
 約束は取り付けておくが、この場で細かい話をして楽しい気分を壊すような無粋なことをしてしまっては纏まる話も纏まらなくなる。
 口約束をさせておいて、後は満足がいくまで飲ませておけば、ようやく接待も成功、晴れて対等なビジネスパートナーに戻れるわけだ。

 大樹クンのささいなミスから始まった今回の試練、やっと終盤に近付いてきた。
 私の正面に座っている大樹クンも、この状況に軽く微笑みが出ている。

 うーん、今すぐでも大樹クンの隣に座って、喜びのハグをかましたい。ここまでくれば接待の失敗なんかはありえない!

 桃代部長が、片手に持っていたグラスを置いて、私に返事をする。
< 203 / 518 >

この作品をシェア

pagetop