28才の初恋
「うーん、仕事……ね」

 桃代部長は、この期に及んで返事に勿体つけてくる。
 ええーい!ここまでに幾ら使ってると思ってるんだ!?
 会社の金とはいえど、今夜の接待だけで五十万にも届こうかという金額なんだぞ!!
 今さら『返事はノー』なんてことは言わさないぞ!!

「はい、是非ともお願いします」

 少ししつこいか、とも思うが。
 それでも念を押す。
 いかに口約束とはいえ、桃代部長の口からハッキリとオーケーを貰うか否かで大きな違いがある。
 ここは退くわけにはいかない。

 恋愛ではオクテだけどさ、仕事では一歩たりとも退いてらんないのよっ!!
 いや、大樹クンとの恋愛もいずれは前進させるつもりだけどさ……って、今は恋愛は後回しだ!
 というか、この仕事には大樹クンの未来も賭かっているんだからっ!!
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