28才の初恋
 金曜日の仕事を終えて、クタクタになりながら自宅に戻って来れた時には時計は十二時を回ってしまっていた。
 課員は全て帰ってしまったオフィスで、溜まりきった仕事を全て片付けて、やっと家路に就けたわけである。

 思っていた以上に溜まっていた仕事は、片付けておかないと週明けの仕事に影響するものばかりだった。ただでさえ桃代部長の一件で他の課員たちに迷惑をかけてしまっていた手前、普段ならば期間ギリギリまで……ヘタすれば『締め切り一分前までに仕事を片付けておけば良いか』、と考えるのだが。

 今回はお詫びの気持ちも兼ねて、週明けのスタート時点には課の全員が一気に仕事に取り掛かれるように、残業して溜まっていた仕事を全部片付けてきたわけである。

……え?土日に休日出勤すれば良いって?

 いや……接待騒動で疲れていたのも事実でして。

 私も休みたい時だってあるわけで……。
 で、『これでやっと休めるー!』と思いながら帰ってきた私を待ち受けていたのが――部屋に溜まりきったゴミの山だったわけだ。
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