28才の初恋
 着信音が聞こえる位置までほふく前進してたどり着いたのだが。

……あれれ?携帯が見つからない。

 携帯の音が響いているので、この辺りにあるのは間違いないはずなんだけど……。

 そう思いながら、積もり積もった服を掘り返す。
 きっとこの山の下に……あった!!
 埋もれていたカバンを発見、この中に携帯は入れっぱなしのはずである。
 ゴミの山に囲まれたカバンを引っ張り出す。

 携帯がけたたましく鳴り響き、私を急かす……が、まだカバンの中の携帯を捜索する作業が残っている。

 カバンの中からは、化粧ポーチ、財布、お昼ご飯用にと買っておいて食べ忘れていたサバの味噌煮サンドウィッチ、スケジュール帳、ペンケース、ハンカチ、ティッシュ、おやつのおせんべいが出てくる。

――携帯はカバンの一番底に在った。

 ついに発見、いざ!出るぞ!!と携帯を手に取った瞬間……電話は切れた。

――くそう……。
< 228 / 518 >

この作品をシェア

pagetop