28才の初恋

5-7

 慌てて身体を拭いて、銭湯を飛び出した。

 銭湯を出た時点で時計は一時を示している。
 これは……完全に間に合わない!!
 せっかく大樹クンがウチに来るというのに、そのために部屋の掃除までしたというのに!

――このままでは、せっかくの苦労が水の泡になってしまう!

 少しでも早く帰れるように、とにかく走る!信号を無視して、自転車のオバサンを追い抜いて……目の前をトロトロと走る原付を抜き去って……とにかく走る!!

 このままでは、私が不在と思い込んだ大樹クンが帰ってしまう!!
 急げ!急ぐんだ、私よ!!

 うう……こんなことになるならば、せめて自転車でも買っておけば良かった。
 どうせ歩ける範囲しか行かない、なんてタカをくくっていた過去の自分を恨む。

――なんて思っている間にも走れ!馬車ウマのように走れ!!
< 269 / 518 >

この作品をシェア

pagetop