28才の初恋
 自宅マンションの前に着いた時には、せっかく癒えかけていた身体もヘトヘトになっていた。
 足はガクガクだし、背中は汗でベトベトだしで……しかし、大樹クンを帰らせてしまうわけにはいかない!!

 今はなかなか降りてこないエレベーターを待っているわけである。
 一刻も早く部屋に戻りたいが……それでも階段を使うよりは、さすがにエレベーターの方が早い。こんな時は、十二階に住んでしまった自分が憎い。

 ようやく到着したエレベーターに乗り込み、ヤキモキしながらポケットの中から携帯を取り出して時間を確認する、もう約束の時間から十五分ほど過ぎてしまっている……って、今頃になって気が付いた!

 ひょっとして、大樹クンの携帯に連絡を入れておけば……ここまで慌てなくても済んだんじゃあないだろうか?

……時すでに遅し、エレベーターは十二階に到着した。
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