28才の初恋
 私が住むのは一二〇九号室だ。

 エレベーターを降りて、すぐに左に曲がって進み、つき当たりの角を曲がってすぐにある部屋である。

 早足で廊下を進み、曲がり角にさしかかる。
 この角の先に……大樹クンは待ってくれているのだろうか?
 呼び鈴を鳴らして、十五分も反応が無かったら誰でも留守だと判断して帰ってしまうだろう……。

 もし、そうなれば……私は悔やんでも悔やみきれない!

 大樹クンに会えないだけではなく、大樹クンを待たせた挙句に約束を守れなかったなんてことになると……。

 心臓がバクバク鳴るのを感じながら、つき当たりの曲がり角を進む。
 その先には……いた!!
 大樹クンがまだ待っていた!!スレ違いになっていなかった!待っててくれてたよ!

――ゴメン!ゴメンね大樹クン!!
< 271 / 518 >

この作品をシェア

pagetop