28才の初恋
「それじゃあ、これで失礼しますね」

――え……!?

 いや、これで帰るって……ええ!?
 リビングに上がって行かない?
 お茶を飲んで行こうよ!

「あ、いや。上がってお茶でも飲んで行けば?」

 慌てて引き止める。
 このまま帰られてしまったら……私の努力は!?

「いいえ、せっかくのお休みに……悪いですし。わざわざありがとうございました! それじゃあ、課長もゆっくり休んでくださいね」

 それだけ言い残して、大樹クンは颯爽と玄関から出て行ってしまった……。
 
 大樹クンが居なくなった玄関では――地蔵のように固まる私の姿だけが残された。
 まさか……こんな展開になるとは。
 
――か、神様のバカヤロー!!
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