28才の初恋
 夜になり、脱力が解けないままソファの上で寝転がる。
 自炊をする気力も湧かず、夕食はすでに外食で済ませてきた。

――ああ、まさか印鑑だけもらったらスグに帰るなんてなあ……。

 まだ、若干ながらショックが残っている。
 でも、休日に大樹クンの顔も見れたし。
 待たせたのに全然怒ってなかったし。
 なんだかんだで部屋も片付いたし、銭湯に行って日頃の疲れを癒すことも出来たし。

……そう考えれば良い休日になったかな。

「ふう……」

 短いため息を吐く。
 思いもかけず、充実した一日になったわけで。コレはコレで良し……とするべきか。

「ギュルルルル……」

 ソファの下方から、私を心配するような声が響き渡った。
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